











お早う御座います!monoです!
ご閲覧有り難う御座います(*^_^*)*
今回は仮更新です。
前回玲のSSを書いたら信司視点も書きたくなってしまったので
信司視点のSSをとりあえずUPしようかと思いまして。
玲視点のSSは此方から。
優等生の休める場所<水沢 信司 視点>
最近随分頑張ってるなあ…
初めは、そんな調子で彼の様子を伺っていた。
彼は責任感が強いし自分の意思はゆるぎなく貫き通す人だ。
だからか、俺の想い人である…深崎の手も借りようともせず
逆に振り払うようにしている。ほら、今も。
振られた側の深崎は、やれやれと言った具合に肩を竦め
いつものように今ひとつ読みとれない微笑みを浮かべている。
彼らは幼馴染。
俺みたいにふたりと出会ったのが高校入学のころ、とは
比にならない日数を、ふたりは重ねてきたわけだ。
はじめは、深崎を目で追うだけだった。
だけれど、深崎が紅坂を追い続けているせいか…
俺も自然と紅坂にも目を向け追うようになっていた。
だからかな…
紅坂の異変を、深崎より早く察知してしまった。
思うより早く、倒れそうになっている紅坂を庇うように下敷きになった。
…本当は、支えてあげた、とかだったらもっと格好もついただろうけど…
紅坂と俺とでは、体型もさほど変わらない。
もしそれに失敗していたら紅坂が倒れる結果になるのは変わりないだろう。
「しん…ッ水沢!?」
紅坂の心から驚いたような声を聴き、とりあえず彼が倒れずに無事いられた
ことに安堵する。
「大丈夫かッ?紅坂ッ…?」
紅坂はとても華奢で綺麗で…と、今の状態では顔の綺麗さは関係ないのだが、
華奢な体をしている。
彼は深崎を振り払ったときと同様の思いでか、それとも俺に負担をかけないように
しようとしているからか、必死に足を踏みしめようとしているようだが、
どうもこれでは無理だろう。
何故なら…
「体…熱いな…」
体を伝って伝わってくる紅坂の熱。
そう、彼はきっとアレだ。
今学校内は季節柄かインフルエンザが大流行中だ。
紅坂はクラス委員以外にも保健委員と言うか保健係も兼用でこなしており
クラスメイトの看病までしているのだ。
そんな彼がそれにうつっても無理はないだろう。
俺は思わず、意地っ張りな彼の姿に自然と笑みを浮かべてしまった。
何も不幸を喜んだわけではない。
なんていうか…仕方ないヤツ、これだから放っておけない、的なそんな感じの意味合いのものだと思う。
「…頑張り過ぎだよ。紅坂」
紅坂が上にいるから良く見えないが、恐らく近くに深崎もいるのだろう。
きっと、彼は紅坂を自らの手で守ってやれなかったことを悔しがっている筈だ…
彼には申し訳ないことをしたかもしれない。
だけど…2年と言う歳月だって、そう馬鹿に出来たものじゃないんだ。
俺はとりあえず体勢を変えようと紅坂をひょいと抱えた。
思った以上に、華奢な体だ。
俺と左程体型…というよりは身長とかは変わらない筈なのに俺は
いとも簡単に体勢を変えることが出来た。
そして、彼に肩を貸す。
「ほら、ちゃんと掴まって」
力が入らないせいか、紅坂は俺が引き寄せてもなかなか体を預けようとしない。
「う、うん…」
返事も、戸惑い気味だ。
彼は少し逡巡したのち、
「水沢…僕は大丈夫だから…」
そう、やんわりと遮ろうとした。
彼が本気で嫌なら、違う形で手助けしようと思った。
けれど彼のその声色から、戸惑いとか…申し訳なさとか。
そんなものを沢山見つけてしまったから…
俺は構わずその遮ろうとしたすらりとした綺麗な手を、力強く握り返して言った。
「紅坂」
少し、ビクッと驚いたようだが、紅坂は振りほどこうとはしない。
「お前、頑張り過ぎ。今は、休めって事なんだよ、な?」
本当に、頑張り屋で。一生懸命で。
そんな彼だから、放っておけないんだ。
2年の月日彼らの一番近くで過ごして来たんだ。
今だけは、紅坂のナイト気取りをしてもいいだろ?深崎…
「…そう、かな…」
いつもなら聴く事が出来ない、少し弱ったような声で紅坂は
俺に少しだけ、体重を預けてくれた。
俺を、俺の気持ちを信じてくれているんだ。
そう思うと、嬉しかった。
「保健室まで、運んでってやるから。…俺も前は世話になった事あるし」
後半は、照れ隠しに他ならない。
俺はそのまま紅坂に肩を貸しながら保健室まで向かった…
保健室について、紅坂はベッドに横たわると相当我慢していたのか
口を開こうとしているようだがそれも叶わぬようで眉根を寄せている。
「紅坂、いいから。少し眠れよ」
ついててやるから、そこまでは言えなかった。
だって恥ずかしいだろ?
それに宣言しなくても、ついててやることを、紅坂は嫌がらない。
そんな気がしたんだ。
保健の先生曰く、やはり彼はインフルエンザの疑いも強いと言う。
俺も教室に戻ったほうがいい、と言われたけれど、せめて紅坂が
起きるまで紅坂のそばにいてやりたかった。
熱っぽい姿の美人は、男女問わず色っぽいものなのだな…
彼の寝顔を見て、思わずそんなことを考えてしまい、少し赤面する。
少し、目に毒だ。
彼の顔から少し顔を逸らして、窓の外を見る。
冬の寒空…帰りの道は、きっと深崎が譲らないだろうな…
少し、紅坂が羨ましい。
俺がこうやって倒れたとしても…深崎は俺を想ってくれるんだろうか…?
「…ん…」
「紅坂…?」
起きたのかと思い、紅坂の顔を伺うと、
「…ありが…と…」
病人とは思えない穏やかで幸せそうな表情で、彼はそう口にした。
そう、これは寝言。
でもきっと…保健室についたとき一番に彼が口にしたかった言葉なのだろう。
夢にまで、見るなんて。
俺は少しくすぐったい気持ちがした。
同時に、さっきまで考えていたことが、少し恥ずかしくも思えた。
「俺こそ、有り難う」
起きたらきっと、一番に彼は「有り難う」と言うのだろう。
そんなとき、俺はもっと凛としてそれを受け取らないと、男が廃る。
でもそれは、この分だと無理かもしれないな…
小説を自発的に、しかも楽しく書いたのは本当に数年ぶりです。
拙い出来でも、私にとっては大躍進です。
これからもこういう作品を書く機会が増えるといいな、そう思っています。
それでは今回はこの辺で!